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FOMCとは?なぜアメリカの金融政策が日経平均を動かすのか
FOMCは米国の金融政策を決める会合です。アメリカの中央銀行であるFRBの政策は、米国金利・米国株・ドル円を変化させ、その動きが日本株へ波及します。ただし、政策金利の方向だけで日本株の動きは決まりません。

FOMCとは
FOMC(Federal Open Market Committee:連邦公開市場委員会)は、アメリカの中央銀行制度であるFederal Reserve(連邦準備制度)の金融政策を決める委員会です。FOMCは政策金利の目標水準や金融政策の運営方針を審議・決定します。
FOMCは年8回程度の定例会合を開催し、必要に応じて臨時会合も開かれます。会合日程やメンバー構成などは時期によって変わるため、最新の情報はFederal Reserve公式で確認します。
参考:About the FOMC(Federal Reserve)
FRBのdual mandate
FOMCが金融政策を決定する際に重視する法的な指針が「dual mandate(二つの使命)」です。これは連邦準備制度法で定められたFRBの政策目標で、以下の2つから成り立ちます。
- maximum employment(最大雇用)。 持続可能な範囲で雇用が最大限に達している状態です。固定された単一の数値では直接測れないため、失業率、雇用者数、労働参加率など幅広い労働市場指標を使って総合的に評価されます。
- stable prices(物価の安定)。 物価が安定している状態。FRBは長期的に2%のインフレを目標としています。
この2つの使命は、必ずしも常に両立するわけではありません。例えば、物価が高すぎる場合は金融引き締めが必要ですが、それが雇用を圧迫する可能性があります。逆に、雇用を重視して金融緩和をすると、物価が上昇しすぎるリスクがあります。FOMCはこの2つのバランスをどう取るかを毎回議論しています。
したがって、FOMCを理解するには雇用統計と物価指標の両方を見る必要があります。CPIやPCEなどの物価指標だけでなく、非農業部門雇用者数や失業率などの雇用指標もFOMCの方向感を測るために重要です。
参考:Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy(Federal Reserve)、Federal Reserve FAQ「What economic goals does the Federal Reserve seek to achieve through its monetary policy?」
発表される資料
FOMC statement(政策声明文)
会合後に政策声明文が公表されます。政策金利の目標誘導水準だけでなく、経済活動や雇用、物価に関する見方、今後の政策運営の方向性も示されます。市場は前回からの表現の変化を注視します。
経済見通し(SEP)とdot plot
年4回の会合では、FOMC参加者による経済見通し(Summary of Economic Projections:SEP)も公表されます。SEPでは主に以下の項目が確認できます。
- 実質GDP成長率の見通し。 米国経済の成長力がどう見込まれているか。
- 失業率の見通し。 雇用市場の先行きがどう見られているか。
- PCEインフレ率の見通し。 個人消費支出価格指数によるインフレ見通し。
- core PCEインフレ率の見通し。 食料・エネルギーを除くPCEで、基調的なインフレ動向を確認するための重要な材料です。
- 適切と考える政策金利。 各参加者が経済見通しに基づいて適切と考える政策金利の水準。
SEPと共に公表されるdot plot(ドットプロット)も市場の関心を集めます。dot plotはFOMC参加者それぞれの政策金利見通しを点で示した図です。重要な点は以下のとおりです。
- dot plotは各FOMC参加者の個別見通しを示したものであり、委員会として合意した政策経路ではありません。
- 中央値だけでなく、分布の広がりや前回からの変化にも意味があります。分布が広がっている場合は委員間の見解のばらつきを示唆します。
- dot plotはあくまで「その時点での見通し」であり、経済状況の変化に応じて変わり得ます。
SEPがある会合とない会合があるため、FOMCのスケジュールを事前に確認しておきます。
参考:Guide to the Summary of Economic Projections(Federal Reserve)
FOMC発表時に見る順番
FOMCの発表があったとき、以下の順番で確認していくと変化を体系的に捉えやすくなります。
target range
政策金利の誘導目標に変更があったか
statement
声明文の表現が前回からどう変わったか
SEP(ある会合)
GDP、失業率、PCEインフレ、core PCEインフレの見通し変化
dot plot
政策金利見通しの中央値と分布の変化
議長記者会見
声明文だけでは読み取れないニュアンス
米金利
米2年・10年金利など金利市場の反応
米国株
米国市場の反応
ドル円
日米金利差への反応
日経225先物
日本市場への波及
なお、特定の市場反応が保証されるわけではありません。同じ政策変更でも、市場が事前にどこまで織り込んでいたかによって反応は変わります。また、状況によって市場が特に注目する項目は異なります。
議長記者会見
会合後にFRB議長の記者会見が行われます。政策決定の背景や今後の見通しについての質疑応答を通じて、声明文だけでは読み取れないニュアンスが伝わることがあります。
米国金利・米国株・ドル円への影響
FOMCの決定は、まず米国市場へ影響します。
- 米国金利。 政策金利の誘導目標や将来の見通しが、短期金利から長期金利までの金利形成に影響します。
- 米国株。 金利見通しや経済見通しの変化は、米国株の評価や企業業績への期待を変化させる可能性があります。
- ドル円。 日米の金利差や金融政策の方向性の違いは、為替市場を通じてドル円にも影響します。
これらは独立して動くわけではなく、金融政策への期待変化を共通の要因として連動することがあります。
日本株への波及経路
FOMCの結果が日本株へ波及する主な経路は次のとおりです。
具体的には、米国金利の変化が米国株の評価を変え、その動きが夜間の日本市場にも影響します。またドル円の変化は、日本企業の海外収益や物価の outlook を通じて日本株の材料になります。
米国株と日経平均の関係については日経平均と米国株の関係、ドル円との関係については日経平均とドル円の関係も参考になります。
据え置きでも動く理由
FOMCで政策金利が据え置かれても市場が大きく動くことがあります。重要なのは「据え置きか変更か」だけでなく、次の点です。
- 声明文の表現が前回からどう変わったか。
- 将来の政策運営について市場が事前に想定していたこととの差。
- SEPやdot plotが市場の事前予想とどう異なっていたか。
- 議長記者会見での追加的な説明。
例えば、金利据え置きでも、声明文でインフレへの警戒感が強まったり、将来の利上げを示唆する表現が入ったりすれば、市場は金融引き締め方向へ反応する可能性があります。逆に、利上げが行われても、それが既に十分織り込まれていれば反応が限定的になることもあります。
発表前・直後・翌日以降の確認
FOMCは単発のイベント結果を追うだけでなく、時間軸を意識して確認することが重要です。以下の3段階で何をチェックすべきかを整理します。
発表前
- 市場の事前予想(政策金利の据え置き・利上げ・利下げのどちらが予想されているか)。
- 直近の米国経済指標(雇用統計、CPI、PCE、小売売上高など)の方向感。
- 声明文の表現が前回から変わる余地があるか。
発表直後
- federal funds rateのtarget rangeの変更。
- 声明文の表現変化。
- SEPがある会合なら経済見通しとdot plot。
- 直後の米金利・米国株・ドル円の反応。
翌日以降
- 議長記者会見の議事内容の詳細。
- 発表後の市場の反応が持続しているか。
- 他の経済指標やFOMC委員の発言との整合性。
予想期間別の見方
| 期間 | FOMCの見方 |
|---|---|
| 翌営業日 | 声明文・SEP・議長会見の内容と、米国金利・米国株・ドル円の反応を確認する |
| 1週間程度 | 発表後の動きが定着しているか、他の材料と整合しているかを追う |
| 1か月程度 | 金融政策の方向感、米国経済見通し、企業業績への影響を中期的に考える |
FOMCは単発のイベント結果を追うだけでなく、発表後に形成された金利・為替・株価の流れが、翌営業日以降も続いているかを翌営業日の予想や1週間後の予想でも確認します。
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