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日経平均と金利の関係|利上げ・利下げが株価に効く3つの経路

金利は日経平均を考えるうえで重要な材料ですが、『利上げなら株安、利下げなら株高』という単純な公式ではありません。どの金利を見て、なぜ変化したかを読み解くことが重要です。

金利と日経平均の関係を表すパーセント記号と株価チャート

金利は一つではない

株式市場で「金利」と一口に言っても、実際には複数の金利が存在します。ニュースで「金利上昇」と報じられたとき、それがどの金利を指しているかを確認する必要があります。

  • 政策金利:中央銀行の金融政策運営で中心となる短期金利。日本銀行は2024年3月の金融政策の枠組み見直し以降、無担保コールレート(オーバーナイト物)を政策金利として誘導しています。
  • 短期市場金利:政策金利や金融市場の需給の影響を強く受ける、短期の市場金利です。
  • 国債利回り:国債市場で形成される利回りです。満期によって、2年、5年、10年、20年、30年などが存在します。
  • 長期金利:日本のニュース等では、代表的に10年国債利回りを指して使われることが多い呼び方です。
「国債利回り」は、満期の異なる複数の年限を含む大きな集合です。その中で10年物が長期金利の代表として使われることが多く、長期金利と国債利回りは同じレベルの別種類ではありません。どの金利が動いているかで、株式市場への影響の経路が異なることがあります。

参考:金融政策の波及経路(日本銀行)

政策金利と長期金利は同じ方向に動くとは限らない

長期国債利回りは、現在の政策金利だけで決まるわけではありません。概念的には、将来の短期金利への期待とタームプレミアムなどを含んで形成されます。

将来の短期金利への期待
+
タームプレミアム

タームプレミアムとは、長期間、金利変動などのリスクを負って債券を保有することに対して投資家が求める上乗せ分です。

  • 日銀やFedが政策金利を据え置いていても、長期金利は動く
  • 将来の利上げ・利下げ期待が変われば動く
  • インフレ期待が変われば動く
  • 景気見通しが変われば動く
  • 債券需給やタームプレミアムの変化でも動き得る

したがって、「政策金利が据え置きなのに10年金利が上昇した」こと自体は矛盾ではありません。市場が将来の金利や景気、インフレ、債券需給の見方を変えれば、政策金利が変わらない間にも長期金利は変化します。

参考:Treasury Term Premia(Federal Reserve Bank of New York)、Monetary Policy: What Are Its Goals? How Does It Work?(Federal Reserve)

日本の金利

日本銀行は金融政策決定会合で政策金利や金融市場調節方針を決定します。その決定は、国内の金融市場の金利形成へ働きかけ、企業や家計の資金調達、経済活動、金融市場などへ波及していきます。

日本の金利変化が日本株へ影響する経路としては、以下が挙げられます。

  • 国内企業の資金調達コストの変化
  • 株式の株価評価(割引率)への影響
  • 為替(ドル円)を経由した影響
  • 家計の消費や住宅ローンなどへの影響を通じた景気への波及

日銀の金融政策については日銀金融政策決定会合とは?で詳しく整理しています。

米国の金利

日経平均を考える場合、日本の金利だけでなく米国金利も重要です。米国の金融政策はFOMC(連邦公開市場委員会)で決定され、その方針や経済見通しは米国株・米国金利・ドル円へ影響します。

米国金利の変化は、国際金融市場を通じて以下のような経路で日本株へ波及する可能性があります。

  • 米国株の動きを通じたグローバルなリスク選好の変化
  • ドル円などの為替を通じた日本企業の業績見通しへの影響
  • グローバルな資産評価の割引率変化

参考:米国金利とドル円(日本銀行)、FOMC(Federal Reserve)

FOMCが日本株へ影響する経路についてはFOMCとは?、米国の経済指標については米CPI・雇用統計とは?も参考になります。

金利変化が日本株に影響する理由

金利は「企業の資金調達」と「株式をどの水準で評価するか」の両方から株価へ関係し得ます。

金利が低下すると、企業が銀行から借り入れたり市場から資金を調達したりするときのコストが下がる方向に働きます。反対に金利上昇は資金調達コストを押し上げる方向に作用します。設備投資や事業計画、利益へ影響する可能性があるため、株式市場も金利変化を無視できません。

また金利は、将来の利益やキャッシュフローを現在価値へ換算するときの前提にも関係します。ほかの条件が同じなら、割引率となる金利が低いほど将来価値の現在価値は高くなりやすくなります。さらに、安全性の高い資産の利回りが変化すれば、投資家が株式へ求める収益率や資産配分も変化する可能性があります。

金利変化

政策金利・長期金利・国債利回りなど
資金調達コスト企業利益
割引率株価評価
為替輸出・輸入企業
景気・家計企業売上

日本株への影響

日経平均を含む株価
金利の影響は1本の経路ではありません。資金調達コスト、株価評価、為替、景気など複数の経路を介して日本株へ届きます。

なぜ金利が上がったか

ここが最も重要な点の一つです。同じ「金利上昇」でも、なぜ上がったかによって市場が受け取る意味が異なります。

ケース1:景気が予想以上に強い

企業利益が伸び、雇用も強く、経済活動が活発な中で金利が上昇している場合です。この場合、金利上昇は資金調達コストの増加というマイナス面がある一方、企業利益の拡大期待がそれを上回る可能性があります。市場全体として、金利上昇をそれほどネガティブに受け取らない場合があります。

ケース2:インフレ懸念が強まった

物価上昇への警戒から、中央銀行による急速な金融引き締めが意識されて金利が上昇している場合です。この場合は、将来の景気減速や企業利益の圧迫への懸念が強く意識されやすく、株価にとっては重荷になりやすい環境です。

ケース3:中央銀行が想定より引き締め的だった

中央銀行の発表や発言が市場の事前予想よりも引き締め的(タカ派的)だった場合、サプライズとして金利が急上昇することがあります。この場合は「予想との差」が短期的な市場変動の主な要因になります。

「金利上昇=株安」ではなく、なぜ金利が上がったのかを確認することが重要です。原因によって、株式市場の受け止め方は変わります。

長期金利は金融政策期待だけでなく、国債の需給やタームプレミアムの変化でも動き得ます。したがって、長期金利上昇をそのまま利上げ期待と断定しません。

同様に、利下げも必ず株価上昇を意味しません。景気悪化への対応として利下げが行われる局面では、企業利益への不安の方が強く意識されることがあります。

業種によって反応は異なる

金利変化の影響は225銘柄すべてで同じではありません。事業構造や財務構造によって、影響の向きや大きさが異なります。

  • 借入負担の影響を受けやすい企業:設備投資や事業拡大のために多額の借入を行っている企業は、金利上昇による資金調達コストの増加影響を受けやすくなります。
  • 将来利益への期待が大きい成長企業:現在の利益よりも将来の成長期待で評価されている企業は、割引率となる金利の上昇によって株価評価が調整されやすくなる傾向があります。
  • 金融業:銀行などの金融機関は、貸出・預金金利の差は収益を考える重要な要素の一つです。ただし債券運用、貸出量、信用コストなど他の要因もあるため、金利環境の変化が収益構造に直接影響する一方で、単純な関係だけではありません。
  • 内需・外需と為替の影響:金利変化が為替にも波及する場合があり、その為替変化を通じて外需・内需企業への影響が分かれることがあります。企業ごとに為替感応度が異なるため、一律の影響とは限りません。

そのため「金利上昇だから日経平均の全銘柄にマイナス」と考えず、市場のどの部分が影響を受けやすいかを確認します。

短期と中期での見方

期間金利の見方
翌営業日経済指標や中央銀行発言を受けた急な金利変化と、株・為替・先物の反応を見る
1週間程度重要イベントと数日間の金利方向を確認する
1か月程度金融政策の方向、景気、企業利益、為替と合わせて考える

金利は売買サインとして単独で使うのではなく、なぜ変化したか、その変化を株式・為替・先物がどう受け止めているかを確認する材料として使います。

金利と為替の関係については日経平均とドル円の関係、中期の予想については1か月後の日経平均を予想する方法も参考になります。

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